消えたくなった日

抑鬱(よくうつ)状態と診断され、1か月の休職が決まった。

初めての病院までたどり着くのは、意外と簡単だった。
受付で心療内科と伝え、若い女性スタッフから番号を受け取る。

そう、ここは笑顔で対応できるのだ。
長年の夜職(夜のピンクのお仕事)とお昼の仕事で染みついた感覚が、
私の顔に笑顔のオブラートを薄く貼り付けて自動応答する。

待合席に座ると、ぽろぽろと涙がまたこぼれる。
オブラートの表情は無に変わり、「溶けて消えたいなくなりたい」が脳をめぐって頸動脈に手が伸びる。
抑鬱(よくうつ)状態、と診断され、1か月の休職が決まった。

気づけなかった心のサイン

消えたくなったのは、今日が初めてではなかった。
ピンクの夜のお仕事をしている時もすぐ死にたくなっていた。
特にお泊りコースの後は、昼のきれいな山や海を見るとそのまま車で突っ込んで消えたくなっていた。事情を知る友達Aに、いつも励ましてもらいながら仕事していた。

首を絞めるのは昔からだった。
高校生の頃くらいからだろうか。
昔から、大事なものがなくなる不安が強かったり、後悔を引きずったりていた。
そういうときに、消えてしまいたくなって頸動脈を自分の手で絞めていた。
意識が遠くなり、すーっと消える。
腕の力が抜けて死ねないが、ぼんやり意識が戻ると「xねなかった」と考えていた。

寒くなると特にそうだった。
12月31日大晦日の夜に、家で涙が止まらなくなり友達Aを呼び出したこともある。
Aに会うと、ケロッとよくなるのが不思議だった。
友達Aに「xして?」と頼んだこともあるが、いつもの私の様子を見て冗談だと思っていたのだろう。

その日は突然来た。


ベッドから出ることができなくなった。

友達Aの勧めで心療内科を受診して、心療内科で過去の経緯を話した。
「抑鬱状態(よくうつじょうたい)」と診断された。
すぐに1か月の休職が決まった。
看護師として働くの友人Aに、薬のこと・診断結果を話すと「ずっとそうだと思ってた。夜路は希死念慮(きしねんりょ:死にたいと思うことの専門用語)があるもん。」と言われて少し落ち着いた。

ずっと抱えてきた心のこと。
自分がよくない状態だったんだな、とはじめて知った。


動けなくなるくらいの抑鬱(よくうつ)。心が堕ちた。
その日心が溢れた原因は、心療内科の先生にも言えなかった。
原因は。Aに裏切られる事故があったのだ。


集中力が全くない。
涙がぽろぽろとこぼれた。